ここでは「希望小売価格」の基本的な意味やその役割について解説しています。
希望小売価格を設定していることで過去に起きた混乱を紹介しながら、価格表示ガイドラインについても触れているので、ぜひご参考ください。
希望小売価格の意味とは?

素敵な商品を製造してくれてありがとう!どんな値段設定で売ろうかな



小売店では、この製品はこのくらいの価格で販売すると良いと思うよ!
希望小売価格は製造業者が小売業者に対して提案する販売価格の目安です。
この価格設定は、製品の市場価値やブランドイメージを保つために重要な役割を果たします。
希望小売価格が明示されている場合、その価格が品質や性能の目安として消費者にとらわれることもあるからです。
例えば、同じ製品でも希望小売価格が高いものであれば、消費者はその製品が高品質であると認識することが多いでしょう。
希望小売価格に拘束力はありません
希望小売価格はあくまで「希望」であり、法律的には小売店にその価格で販売する義務はありません。
小売店は希望小売価格を参考にしながらも、自身の経営戦略や市場状況に応じて自由に価格を設定できます。
希望小売価格による混乱と価格表示ガイドラインの制定



小売希望価格は300円です!



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まあ、とても安くなっているわ!買います!
過去には希望小売価格によって、市場での混乱を引き起こすことがありました。
メーカーが小売希望価格を提示していることで、小売店はその値段から大幅な値引きを行い、過剰に安さを宣伝することが常態化したのです。
これにより商品の質ではなく値引き額だけが印象付けられ、正確な市場価値が消費者に伝わりにくい状況が生じました。
このような背景から、景品表示法に基づき、消費者庁では「価格表示ガイドライン」を整備し、希望小売価格の表示方法について規制を行っています。
また、近年では希望小売価格よりもオープン価格が用いられるケースも増えてきています。
【引用】流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針 | 公正取引委員会
1 考え方
(1) 事業者が市場の状況に応じて自己の販売価格を自主的に決定することは,事業者の事業活動において最も基本的な事項であり,かつ,これによって事業者間の競争と消費者の選択が確保される。
事業者がマーケティングの一環として,又は流通業者の要請を受けて,流通業者の販売価格を拘束する場合には,流通業者間の価格競争を減少・消滅させることになることから,このような行為は原則として不公正な取引方法として違法となる。(2) 事業者が設定する希望小売価格や建値は,流通業者に対し単なる参考として示されているものである限りは,それ自体は問題となるものではない。しかし,参考価格として単に通知するだけにとどまらず,その価格を守らせるなど,事業者が流通業者の販売価格を拘束する場合には,上記(1)の行為に該当し,原則として違法となる(注4)。
(注4) 事業者が希望小売価格等を設定する場合においては,再販売価格を拘束すること(再販売価格の拘束に当たるかどうかについては,下記2において述べる考え方に基づき判断される。)にならなければ,通常問題となるものではない。
流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針 | 公正取引委員会
なお,希望小売価格等を流通業者に通知する場合には,「正価」,「定価」といった表示や金額のみの表示ではなく,「参考価格」,「メーカー希望小売価格」といった非拘束的な用語を用いるとともに,通知文書等において,希望小売価格等はあくまでも参考であること,流通業者の販売価格はそれぞれの流通業者が自主的に決めるべきものであることを明示することが,独占禁止法違反行為の未然防止の観点から望ましい。
希望小売価格とオープン価格の違い
「希望小売価格」「定価」はメーカーや卸がその金額を考えています。
対して「オープン価格」は、逆にメーカーや卸側は価格を設定しません。
小売店が市場の状況や需要によって自由に価格を決定できる方式です。


希望小売価格と定価の違い
希望小売価格は定価とは異なり、法的な拘束力を持たないという点が特徴です。
対して「定価」は法的な拘束力を持っています。
つまり、希望小売価格を付けられた商品の値段は販売者の自由ですが、定価のついた値段は定価の金額から変えてはいけないのです。


価格表示は適切に決めましょう
希望小売価格はメーカーが小売業者に対して示す販売価格の提案です。
しかし定価やオープン価格とは異なり、その価格で販売する義務はありません。
商品価格は消費者にとって製品の品質や価値を感じる目安とされます。
市場を観察して価格表示ガイドラインなどのルールを守りながら、適切な値段設定を考えてみましょう。
価格にはさまざまな表記があり、それぞれによって使用条件やメリット・デメリットがあるので、今回の内容も参考にしてみてください。
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