オープン価格の意味とは?二重価格表記による問題や希望小売価格との違い

ここは「オープン価格」とは何かを説明するページです。

メーカーによる価格提示において、よく用いられる主な表記は下記のように変化していきました。

定価」→「希望小売価格」→「オープン価格」

今回はオープン価格の意味を解説した後、これらの価格表記が用いられるようになった背景もご紹介します。

背景を知ることでそれぞれの価格表記のメリット・デメリットも見えてきます。ぜひご参考ください。

目次

オープン価格とは?

オープン価格とは「メーカーが小売価格を設定していない」ということを意味します。

オープン価格と言われている商品は、小売店が自由に販売価格を決めることが可能です。

オープン価格のメリット

小売店メーカー
小売価格の自由度が高いブランドイメージを守りやすい

小売価格の自由度が高い

オープン価格のメリットは、小売店にとって小売価格の自由度が高いところです。

小売店は下記等を加味して、臨機応変に小売価格を決めることができます。

  • 商品の人気
  • 在庫の数
  • 仕入コスト(利益率)
  • 競合店の小売価格

例:品薄の人気商品は価格を高く、在庫が増えた商品は価格を安くする 等

ブランドイメージを守りやすい

メーカー希望小売価格は、小売店によって割引額のアピールに利用されることがあります。

「メーカー希望価格より○円引き」という表記が多くなると、安売りされている不人気メーカーという印象を持たれてしまうかもしれません。

オープン価格にしていれば、そもそも希望を提示しているわけでもないので、メーカーは小売価格との差額による印象を考慮する必要がなくなります。

オープン価格のデメリット

オープン価格のデメリットの多くは、価格の不透明性に起因しています。価格の不透明性は消費者が購入をためらう要因ともなるので、売上の損失につながる可能性を持っています。

ここでは、下記のデメリットを掘り下げて説明します。

  • 「価格の妥当性」の判断が難しい
  • 「値下げ額」のアピールが難しい
  • 仕入価格」を決めにくい
  • カタログ」に価格が載らない

「価格の妥当性」の判断が難しい

オープン価格の商品において、消費者はメーカーがどのくらいの小売価格で考えていたのかが分からず、人気や性能などその商品への理解がなければ、小売価格の妥当性に関して小売店を信用するしかありません。

また、小売価格は小売店に聞かなければ分からず、その金額は小売店によってバラバラなこともあり得ます。

今では小売店もインターネット通販などで販売価格を載せているところが多くなりましたが、もしもインターネット上にも価格が載っていなければ、販売価格を知るためには基本的に店舗へ行くか問い合わせるしかありません。

「値下げ額」のアピールが難しい

オープン価格は「メーカー希望価格から○%値下げ」といったアピールができません。

値引きをアピールする際は「当店通常価格より○割引」「地域最安値」など、曖昧な表現を用いることになります。

客観性を持たない値下げ額のアピールは本当にお得になっているのかが、その小売店や周辺の小売価格をよく知っている人でないと伝わりにくいです。

価格表示のルール

「当店の通常価格より○円安い」というような表示をする場合、過去の販売価格(8週間において4週間以上の販売価格)と比較できる資料を用意しなければ、価格表示ガイドラインの違反とみなされる可能性があります。

「仕入価格(卸価格)」を決めにくい

オープン価格の商品は「希望小売価格の7掛けで仕入れたい」といった希望小売価格を基準にした仕入価格(卸価格)の交渉ができません。

それによって交渉のための下調べや説明による手間が増えて、話し合いが複雑になることもあります。

適切な仕入価格(卸価格)を考えるためには、オープン価格と言えどもきちんと商品の人気や特徴を理解して小売価格のイメージを持っておく必要があります。

オープン価格商品の小売価格の決め方
  • 実際に販売している店舗を見る
  • 似た性能の商品と価格を見る
  • 自店での売れ行きを見る
  • メーカー・卸問屋に相談する など

「カタログ」に価格が載らない

メーカーのカタログによっては、どの商品の価格欄にも「オープン価格」と書かれている場合があります。

具体的な金額が載っていないと消費者は商品のコスパが想定できず、カタログの購買訴求効果が薄れてしまいます。

わざわざ小売店に出向いたり、他の媒体で調べる意欲を持たない消費者の購入意欲を引き出すことは難しくなるでしょう。

カタログに小売価格を入れる場合

オープン価格商品の小売価格を見せるためには、小売店によるカタログ作成が必要です。

しかし、中小の小売店ではカタログ作成をやっていないことが多いです。

そこで、小売店の名を一緒に入れたカタログ作成までもメーカーが代行して行い、配布している例もあります。

ただし、これは再販価格の拘束にあたる可能性もあるので注意しましょう。

オープン価格と「定価」の違い

定価は「メーカーが設定した変えてはならない小売価格」のことです。

定価の付けられた商品は、その定価の金額で商品を売らなければいけません。

基本的に値上げや値下げも認められません。

つまり、小売店が小売価格を決められないことを意味します。

定価は、オープン価格とは真逆の価格設定と言えるでしょう。

定価の問題点(独占禁止法)

前提

小売店で販売価格を決められない定価は、一昔前までは当たり前に使用されていました。

定価では小売店の状況がどのような場合であっても、小売店側で臨機応変に値段を変えることができません。

課題発覚

小売店は地域ごとの流通コストなど、さまざまな要因で売れ行きが変わります。

よって、どのお店も平等の値段(定価)になると、お店のサービス力に関係なく、利益の差が生まれてしまうのです。

また、メーカーに販売価格が決められてしまうことは、独占禁止法の「再販売価格の拘束」にあたるとも言われてしまいました。

そのため、今では定価は書籍などの著作物や一部の例外を除いて用いられていません。

公正取引委員会による「再販売価格の拘束」の説明はこちら

上記の理由もあり、次第に「定価」よりも「希望小売価格、または参考小売価格」が用いられるようになりました。

オープン価格と「希望小売価格」の違い

希望小売価格は、メーカーが「小売店ではこれくらいの金額で販売してほしい」と提示している価格です。

定価のように小売価格を強制する効力はなく、オープン価格と同じように小売店は自由に小売価格を決めることができます。

ただし、オープン価格と違って明確な金額も提示されているため、その金額が商品の品質を測る基準として見られることもあります。

希望小売価格がある商品は、その希望小売価格と比較されて販売価格を高くすればより割高になった印象が強まり、値下げすれば人気がなくなったのだと思われかねません。

ちなみに
希望小売価格小売店ではこれくらいの金額で販売してほしいという価格
参考小売価格小売店ではこれくらいの金額で販売するのが妥当と思う価格

どちらも小売価格の強制力はありません。強制力があるのは「定価」です。

希望小売価格の問題点(二重価格表示)

前提

希望小売価格は、その金額が品質や性能の高さとして見られている節がありました。

100円のお菓子と400円のお菓子が似たパッケージで並んでいるとき、多くの人は金額が高い400円のお菓子の方がおいしいだろう、と思うでしょう。

また、希望小売価格が400円だったとしても、市場で売られている価格相場は200円になっている商品もあります。

この差が、小売価格の妥当性を混乱させてしまう要因になっていきました。

課題発覚

希望小売価格を用いる企業が多くなり、店舗数と競争が激しくなった1980年ごろの家電業界において、問題は露呈し始めました。

[例:希望小売価格10,000円だが、市場相場価格5,000円の商品]

この商品を市場相場通りの5,000円で販売しながら、あえて希望小売価格10,000円と掲載した上で「メーカー希望価格の半額!」と謳うとどうでしょうか。

市場の相場価格を知らない、周りのお店と比較をしない消費者は「この店は半額も安く買える!」と、自分が得するように錯覚してしまいます。

また違う視点で見ると「このメーカーは割引されないと売れないんだな」と思われてしまう可能性もあります。

いまでこそ市場価格相場を知るためにはインターネットで様々な小売店の販売価格を見れますが、昔は基本的に多くの店舗へ行き価格を確認するしかありません。

購買意欲を煽りたい小売業界では、このような大幅な値下げ価格の表示が常態化してしまい、商品の価値と価格の整合性に混乱を与えてしまいました。

上記の理由もあって消費者庁では景品表示法に基づいた”価格表示ガイドライン”が整備されます。さらにメーカーは次第に「メーカー希望価格」ではなく「オープン価格」も用いるようになりました。

消費者庁による「価格表示ガイドライン」はこちら

価格表示は適切に決めましょう

価格にはさまざまな表記があり、それぞれによって使用条件やメリット・デメリットがあります。

自分達の都合の良いようにばかり考えて値段を付けていると、価格表示ガイドラインや独占禁止法にひっかかる可能性もあるのでご注意ください。

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